トルク管理
〜その1〜

 必要だとは思いつつも、そのあまりに高価なのにためらい、ついつい購入を控えてしまう代表的な工具が「トルクレンチ」ではないだろうか。うめ吉もなかなかトルクレンチまでは手が回らなかったが、ついに思い切って手に入れた。すると、今までの「とりあえず緩まない程度に目一杯」という自分の中での方法が、大いに間違っていたことを痛感。自己流の締め付け方はパーツ、ひいてはフレームそのものを破損しかねない。ここではトルクについて考えてみた。
◇トルクとは?◇
5−7Nm(50-70kg.f.cm) まずは左の記号を見て欲しい。これはシマノの取説などによく書いてある記号で、締め付けトルク値だが、次のような意味である。
「1cmの位置で50〜70kgの力をかける」(=10cmの位置で5〜7kgの力をかける)
 さて、上記のような締め付けトルクを体に覚え込ませるのは大変だ。経験と勘が必要になる。実際プロショップといわれるような店でも、この締め付けトルクだけはずさんだという話をよく聞く。うめ吉がよく訪れるサイト、「Mac's Bicycle Shop Talk」には、プロショップのメカニックのフロントディレーラーの締め付けがきつすぎて、あわやシートチューブ破損といった例が示されている。プロでさえこうだから、圧倒的多数を占めるアルバイト店員などは推して知るべし、だ。各パーツに必要なトルクはどのくらいか、以下に示してみた。
◇自転車のトルク一覧・シマノ編◇
トルク一覧
トップキャップ 2-5Nm フリーホイールロックリング 30-50Nm
ステム 5-7Nm Vブレーキ固定ボルト 5-7Nm
デュアコン 6-8Nm シュー固定ナット 6-8Nm
ペダルシャフト 35Nm ブレーキワイヤー固定ボルト 6-8Nm
クランクフィキシングボルト 35-50Nm シートクランプ 5-7Nm
カートリッジBB 50-70Nm やぐら固定ボルト 20-40Nm
ホローテックUクランクボルト 10-15Nm フロントディレーラー 5-7Nm
ホローテックUBBアダプター 35-50Nm シフトワイヤー固定ボルト 5-7Nm
ホローテックUクランクキャップ 0.7-1.5Nm SPDクリート 2.5Nm
リヤディレーラー 8-10Nm ボトルホルダー 5Nm位?
 表を見て分かるとおり、最大のトルクでもせいぜい50-70Nmといったところだ。目一杯力がいるような印象を受けるが、実は大したことない。うめ吉もトルクレンチを購入して初めて「え、こんなもん!?」と驚いたくらいだ。今まで相当フレームやパーツに負担をかけていたと反省。以下は特に気を付けたい個所だ。
フリーホイールロックリング  まずはフリーホイールのロックリング。強いトルクがかかっているが、実は体感的には大したことがない。思いっきり占めるとスプロケの破損につながる。実はロックリング工具も壊れやすい。目一杯締めるとスプロケよりも工具が割れる心配がある(実は経験済み・・・^^;)
リヤディレーラー  リヤディレーラーの取付用固定ボルト。ここも8-10Nmという締め付けトルクしかない。何と言っても締めすぎはエンド部分の破損につながる。破損までいかなくとも、曲がる原因を作りかねず、そうなるといくら変速調整をしてもエンド曲がりを直さない限りは永久的に変速はうまくいかない。
ワイヤ類  各種ワイヤー固定ボルト。ここは使用頻度が高い個所だが、ただでさえ弱いワイヤー、締め付けすぎるとすぐにばらけてダメになってしまう。最悪切れる。またオスメス双方のネジ山がつぶれる。こうなったらブレーキ交換。かつて昔のSTX-RCの固定ボルトをこれでダメにし、自転車店を駆け回ったことがある(当時は売っているショップが無くて、ものすごく苦労したなぁ・・・)。「え、これでいいの!?」という位のトルクしかない。
シートクランプ  シートクランプ。この個所のように直接フレームについているパーツは要注意。締め付けすぎは単にパーツを痛めるだけでなく、フレームまで逝ってしまう。特にカーボン製ならばなおさらのこと。ピラーは必ず適正サイズを使い、カーボンの場合はグリスを塗らないこと。グリスを塗ると適正トルクで締め付けてもズリズリッと下がってきて不快だ。
デュアルコントロールレバー  デュアルコントロールレバー取付。ここはいつも手でつかんでいる個所なので緩んだら大変とついつい固く締めてしまいがちだが、実は6-8Nmというトルクしかない。なぜなら固いと転倒時に破損するからだ。転倒してくねっと曲がることでパーツを守っている。ロード用のSTIレバーも全く同じこと。
フロントディレーラー  ここが一番のキモ、フロントディレーラー取付バンド。締め付けすぎたばかりに数十万円のフレームが一瞬でオシャカになるという恐ろしい個所。外してみたらシートチューブに亀裂が・・なんて考えたくない。プロでも見逃すこの難所の適正トルクは5-7Nmしかない。くれぐれもFD取付は慎重に!
 フロントディレーラーの実際の締め付けの様子を動画にしてみた。音声はないが、それほど強く締め付けていない様子が分かると思う。適正トルクで締め付けた後でも、まだいくらでも回せそうだった。でもそれをしたら・・・。

締め付けの様子(torque.mpeg)
 適正トルクは体で覚えていればそれが一番いい。しかしまずは実際にそのトルクを体感しなければ体に覚え込ませることは出来ない。特にカーボンユーザーは数十万円の投資を、一瞬にしてダメにしてしまう危険性がある。そこで次ページではトルクレンチの紹介と注意点をまとめてみた。
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